目次 

第1回 知事の土俵入り、待った!

第2回 USJと、ほんまの大阪商人センス

第3回 奮闘! 大阪モードの仕掛け人たち =上=

第4回 奮闘! 大阪モードの仕掛け人たち =下=

第5回 大阪は、こけてもただで起きひんでぇ!!

第6回 ストレスためんと、お金ためましょ!

第7回 『浪速の"いとはん"人情物語』[上]

第8回 『浪速の"いとはん"人情物語』[中]

第9回 『浪速の"いとはん"人情物語』[下の(1)]

第10回 『浪速の"いとはん"人情物語』[下の(2)]

第11回 新春恒例!女たちの”大阪・冬の陣”

第12回 夕陽に向かって涙した青春

第13回 みにくいアヒルの子

第14回 美穂の”九死に一生”事件ファイル

第15回 夏の日のおもいで

第16回 小春はん (その一)

第17回 小春はん (その二)

第18回 小春はん (その三)

第19回 小春はん (その四)

第20回 小春はん (その五)

第21回 小春はん (完結編)

第22回 浪花の“第九”はスケールがちゃう!

第23回 2003春夏大阪コレクションリポート

第24回 涙の胃カメラ物語

第25回 ああ審査員

第26回 縁は異なもの、宝物

第27回 男のロマン?

第28回 (その2) あんさん何者でんねん?

第29回 (その3)親バカならぬ"上司バカ"

第30回 (その4)英語やったら任せなさ〜い

第31回 (その5)愛される人になるんだ

第32回 (その6)社長さんのお友達

第33回 (その7)社長の寂しげな笑み

第34回 (その8)マザコン、半端やないよ

第35回 (その9)こんな社長でんねん

第36回 (その10)同志の関係

第37回 (その11)そんなん、嘘や!

第38回 完結編 私、幸せやったわぁ

第5回 大阪は、こけてもただで起きひんでぇ!!
小山美穂
 ふぅ〜。…人一倍の明るさと、輝くような美貌だけが売りもの(!)と言われる小山ですけど、(だ、誰が?)ここのとこ全然、元気が出えへんのです。「何か悪いもんでも食べたんか」て? そんなアホな! 私にも深刻な悩みの1つや2つありますよ。相次ぐ物騒な事件や、らいおんはーとの小泉純ちゃん、田中眞紀子外相なんかの話題で、地元大阪でもさっぱり話題にされんようになったけど、この7月13日、モスクワでの IOC総会で、2008年オリンピックの開催都市が決定されること、忘れてもろたら困ります。

 大阪市は「史上初の海上五輪」をコンセプトに、足かけ10年招致活動を続けて来ましたが、5月のIOC評価委員会のレポートでは、財政面の弱さなどを理由に、予想外に低い評価を下されました。最終的に、噂どおり北京になるか、それともトロントが選ばれるのかわかりませんけど、ただ1つはっきりしてるんは、「大阪とちゃう」ていうことです。

 2008円払うたら誰でも入会できる「大阪オリンピック勝手連」の仲間として、ずうっと五輪招致を応援してきた私としては、悔しいやら情けないやらで、夜も寝られへん日が続いてます。(いや、そら、ちゃう、暑いからやで〜)オリンピックに国際政治の駆け引きが絡むのは当然やから、大阪は最初から不利。それに、クリーンと自然体を貫くあまり、IOCの視察団が来はったときに交通規制もせんと、視察団の車を渋滞に巻き込んでしもたりして、ほんまに要領が悪い、としか言 いようがありません。

 けど、前回ご紹介したオーストラリアのデザイナー・ニコラさんは「オリンピックは大阪に決まりや」て言うてはったし、北京の友人も「大阪の方が北京なんかより、はるかに五輪に適してるよ…」て、不思議がってました。IOCでも個々の評価委員の印象は決して悪くなかったようやし、5月の東アジア競技大会でも、外国人記者たちは「どの施設も立派だし、運営上の問題もない。社会基盤も整っている」と高く評価してはりました。そやけど、そやけど……え〜い、もう、こんな負け惜しみ、いつまで言うててもしゃあないわ!! 今日を限りにオリンピックはすっぱり諦めて、大阪の明るい未来を考えていくことにします! 立ち直りが早いのも、大阪のええとこですからね。

 大阪市は五輪招致以前から「住民が誇りに思えるような町づくり」と「国際集客都市」実現のため、「スポーツパラダイス構想」を掲げ、大阪湾に人工島の舞洲(まいしま)スポーツアイランドや夢洲(選手村などの宿泊施設)を建設したり、各区に最新鋭のスポーツセンターを整備してきました。こうした五輪も睨んだ国際レベルの受け皿施設作り以外にも、観光客のための施設や観光ルートの整備、それと、市民のマナーの向上に取り組んできました。つまり、磯村市長がもともと経済学者やから(かどうかは定かではありませんが、ともかく)税金を無駄遣いせんよう、ハード・ソフト両面の充実によって「一石二鳥」の町づくりを進めてきはりました。

 一方、経済界でも十年以上前から「大阪の都市格の向上」をキーワードに、色んなプロジェクトを推進してきました。前回リポートした大阪コレクションもその1つ。こういった努力が功を奏して、今や主婦や子供でも「集客都市」とか「ホスピタリティ」ていう言葉を知ってるほど、市民の意識も変わって来ました。公共マナーが悪いことで有名やった大阪人も、随分お行儀がよくなったように思います。それに大阪の人は、スポーツ好きも多いですよ。野球やサッカーはもちろん、毎年1月に行われる大阪国際女子マラソンでは、御堂筋の沿道が立錐の余地もなくなるほど盛り上がります。大相撲で、連日満員御礼を出し続けてるのは大阪だけやし、スペル・デルフィンさん率いる大阪プロレスも、今年3月に常設リングが出来て、ますます人気上昇中です。今は五輪ショックで、スポーツ全般がちょっと沈滞ムードやけど、これで阪神タイガースがビックリするほど勝ってくれたら、すぐに元気、取り戻しますよ(、きっと…)。

 それにしても、私を憂鬱にさせたほんまの原因は、五輪の当落よりも、施設整備に莫大なお金がかかるとか、会場間の距離が遠いとか、ええ加減なマイナス情報ばっかり流した反対派とマスコミの姿勢でした。実際に大阪市が負担する施設整備費は全体の 12%だけやし、会場間の輸送も、地下鉄がこれだけ完備してたら何の問題もありません。自慢やないけど、大阪は関西空港の人工島ができるまでは日本の都道府県では一番面積が狭かったぐらいやから、その中で「遠い」てゆうても知れてるやん!

 ものごとには必ず、ええ面と悪い面があるのに、その片方だけをクローズアップしたら、人々をミスリードすることになります。事件があったら必ず模倣犯が現れたり、テレビで紹介された食材が、翌日たちまち売切れたり、購読する新聞によっても考え方が全く違うてたり、ほんまにマスコミの影響力は強いでしょ? そやから、なにごとも全体からとらえて、最も世の中のためになるような情報を提供し、人々に希望を与え、日本を明るい方向に持っていくのがマスコミの使命やと思います。健全な心の持ち主やったら、自分の住む町を愛し、そこに大勢の人が集まって、楽しんで欲しいと思うもんとちゃいますか? そやのに、悪い方へばっかり話を持っていく人がいてるて、情けないと思いはりませんか?

 こんな話してる間に、もう決選投票が行われます。もしも大番狂わせが起きて、大阪にオリンピックが来ることになったら、それに越したことはありません。けど、たとえ失敗しても、大阪がこれまでに費やしたお金も時間も、決して無駄になってへんていうことを、改めて申しあげたいと思います。大阪の人たちは昔から、商売に失敗してもまた立ち直り、更に新しい工夫をする繰り返しで発展してきました。そやから今回も、この貴重な経験を糧に、さらに志を高く持って努力していったら、大阪はまだまだ魅力的な都市に変身できると思います。そして、華麗なるバージョンアップが果たせたら、また何年か後に五輪招致にチャレンジしたらええと思います。転んでも、ただでは起きひんのが大阪のええところ。今こそ大阪の底力を見せるチャンスやと信じてます。

 よっしゃぁ〜、私も、大阪の明るい未来のためにがんばるで〜! 
(July 2001)

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